遺言書における「祭祀承継」とは?

遺言書を作成される際に、ご先祖様のお位牌が祭られている仏壇や先祖代々のお墓の管理といったことも書き残しておきたいと思っている場合、遺言書には、財産の配分以外のこういったことは書けないのか考えてみましょう。

 結論から言うと、書くことは可能です。「祭祀承継」と言われるものですが、公正証書で作る遺言書にも「祭祀承継」のことを書いている人は結構いらっしゃいます。

 それでは具体的に「祭祀承継」というのは、どのようなことを遺言書に記載するのでしょうか。

 「祭祀承継者」という、祖先の祭祀を主宰すべき者を指定し、その人にお墓の墓石や仏壇といった祭具の所有権を承継させ、墓地はだいたいお寺や公園墓地の場合には公的機関の所有するものを借りるというのが一般的ですので、その墓地を管理する権利をも承継をさせる、というような内容になります。

 遺言書に亡くなった後のお墓や仏壇のことを誰に継がせてやってもらうのかをはっきり記載しておけば、この点についても後で生じうる余計なトラブルは防げることになります。

 そして、祭祀を承継させたい人に、喪主となって自分の葬儀を執り行ってもらうことや、葬儀の方法、遺骨の散骨という墓地への埋葬以外のことを考える人もいらっしゃいますが、そういったような遺骨の納骨方法を頼むという内容を記載する例もあります。

 また、「祭祀承継」についても財産の予備的遺言と同じことが言えますから、予備的に祭祀承継者を指定しておくことも可能です。

 ただし、遺言書というのは、葬儀が始まる前に相続人全員に明らかにされるというものではないですよね。 
 葬儀が終わった後、たとえば49日の法要に身内の人が集まった席上で内容が明かされるというのが一般的ではないかと思います。

 そのようなことを考慮すると、、少なくとも、祭祀を承継させる人には遺言書に書かれている内容を事前に知らせておく必要がありますね。
 たとえば、生前に遺言書を渡しておくか、他の何らかの方法でそのことは知らせておかなければいけないでしょう。

2019年09月28日