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ご自身や親御さんの不動産の管理・処分にお悩みの方へ

事務所のある泉区加茂地域も含め、現在、空き家が増えており根本的な対策が急がれております。
空き家が増えている要因としては以下のような例が考えられます。

(例)
ご自身やご両親が施設に入居されており、実家に戻る予定がない方
将来相続される予定の子供さんも既にほかに生活の本拠があり、親の実家で生活する予定のない方

従来、当事務所ではこのような場合、後見制度や遺言を活用しての方策を提案しておりましたが、次のような問題点がございました。

(問題点)
後見制度を活用した実家の処分は裁判所の許可が必要であり、手続きが難しく時間もかなり取られてしまいます。
遺言の場合は、実家の受取人と指定された方が、実家の受け取りを拒むケースも多くなっております。

そこで現在、当事務所では「信託契約」を活用して、生前のお元気なうちにご実家の管理・処分ができるよう、お手伝いをさせていただいております。
当事務所は、法律事務所と行政書士事務所を兼ねておりますので、幅広くお手伝いさせていただくことが可能となっております。

お問い合わせはいつでも受け付けておりますので、当事務所までお気軽にご連絡ください。

2019年09月27日

遺言書の重要性~具体的事例から考えます~

今回は、具体的な事例から遺言書を残す重要性について考えたいと思います。

 甲さんは,中規模の農業経営者であり,3人の子供がいました。2人の子供(二男と長女)が家を出て独立後は,農業経営を手伝う長男家族と生活を続けてきました。
 長男は子供が小さいころ亡くなり,その後甲さんの妻も亡くなった後は,長男の妻が中心となって甲さんの後を継いで農業を続けてきました。
 甲さんは,自宅の土地建物や農地等の主だった財産を,長男の妻や孫に残して農業を続けて欲しいと考え,長男の妻にはその旨の話をしていましたが,遺言書の作成はしていませんでした。

 甲さんは,長男の妻に老後の世話を受け,安らかに旅立っていきました。

 甲さんの葬儀が終わった後,二男から遺産分割の話が出ました。長男の妻は甲さんの生前の意思を話しましたが,二男は法定相続分の3分の1に見合う財産の取得を主張して譲らず,長女も当初は甲さんの意思どおりにしたらどうかと二男を説得してくれましたが,その後,自らも法定相続分の3分の1に相当する財産の取得を主張するようになりました。

 甲さんの相続人は,長男を代襲相続する孫,二男,長女の3人であり,甲さんの農業経営を事実上継承し親身になって世話をした長男の妻には相続権がありません。
 したがって,甲さんの遺産について法定相続分に従った遺産分割を行うとすれば,長男の妻や孫には,孫の代襲相続分である遺産の3分の1に相当する財産しか残りません。
 ことに,長男の妻や孫が住んでいる土地建物を取得しようとすれば,宅地の価値は農地に比べて評価額が格段に高いため,農地の全部を手放さざるを得ないことも考えられ,必然的に農業経営は破綻せざるを得なくなります。

 このような事態を回避するためには,甲さんが生前に遺言書を作成し,長男の妻や孫に全部の財産を遺贈あるいは相続させる旨の遺言をしておくべきでした。
 そうすれば,長男の妻や孫は,少なくとも全部の財産のうちの3分の2に相当する遺産を確保することができ,二男や長女への遺留分相当額を価格賠償することにより,その農業経営を維持することが可能となるはずです。 

 この事例の場合,甲さんは,残される者のことを考え,自らの意思を明確にしておくためにも,遺言書を作成しておくべきでした。

2019年09月27日

遺言書を作成するきっかけとは?

遺言書を作成されるきっかけは人それぞれだと思います。

私がご依頼を受ける中で多いのは、ご本人様からというよりは、ご子息や親戚の方からのものです。

「認知症や寝たきりになってしまい、将来が心配になったので急いで作成して欲しい」というものです。

認知症の症状が出始めている方であっても、御自分の意思をはっきりと表示できるのであれば遺言書の作成は可能です。

公正証書で遺言を作成されるのであれば、公証人の先生が遺言者の健康状態を確認して作成の可否を判断するので、より安心して手続きを進められます。

しかし、親族の方からのご依頼で手続きを進めたものの、最後の公正証書の遺言作成の段階でご本人の意思の確認が取れず、作成を断念したケースも少なくないのが現状です。

ご本人の意思がはっきりしている場合、なるべく早めに作成の手続きを進められることが、ご本人だけでなく、遺される親族の方々の安心に結びつくものではないかと感じます。

2019年09月28日

遺言書における「祭祀承継」とは?

遺言書を作成される際に、ご先祖様のお位牌が祭られている仏壇や先祖代々のお墓の管理といったことも書き残しておきたいと思っている場合、遺言書には、財産の配分以外のこういったことは書けないのか考えてみましょう。

 結論から言うと、書くことは可能です。「祭祀承継」と言われるものですが、公正証書で作る遺言書にも「祭祀承継」のことを書いている人は結構いらっしゃいます。

 それでは具体的に「祭祀承継」というのは、どのようなことを遺言書に記載するのでしょうか。

 「祭祀承継者」という、祖先の祭祀を主宰すべき者を指定し、その人にお墓の墓石や仏壇といった祭具の所有権を承継させ、墓地はだいたいお寺や公園墓地の場合には公的機関の所有するものを借りるというのが一般的ですので、その墓地を管理する権利をも承継をさせる、というような内容になります。

 遺言書に亡くなった後のお墓や仏壇のことを誰に継がせてやってもらうのかをはっきり記載しておけば、この点についても後で生じうる余計なトラブルは防げることになります。

 そして、祭祀を承継させたい人に、喪主となって自分の葬儀を執り行ってもらうことや、葬儀の方法、遺骨の散骨という墓地への埋葬以外のことを考える人もいらっしゃいますが、そういったような遺骨の納骨方法を頼むという内容を記載する例もあります。

 また、「祭祀承継」についても財産の予備的遺言と同じことが言えますから、予備的に祭祀承継者を指定しておくことも可能です。

 ただし、遺言書というのは、葬儀が始まる前に相続人全員に明らかにされるというものではないですよね。 
 葬儀が終わった後、たとえば49日の法要に身内の人が集まった席上で内容が明かされるというのが一般的ではないかと思います。

 そのようなことを考慮すると、、少なくとも、祭祀を承継させる人には遺言書に書かれている内容を事前に知らせておく必要がありますね。
 たとえば、生前に遺言書を渡しておくか、他の何らかの方法でそのことは知らせておかなければいけないでしょう。

2019年09月28日